空色、黄色

長年の友人と、長くお世話になっているご婦人宅の庭の手入れに行った。伸びた木々の手入れのほかに、高い所になっている八朔の収穫を頼まれた。あれが気になってるから採っておいて、と彼女は言うけれど、近ごろは採ってもほとんどぜんぶ僕らにくれてしまう…

夜道の画鋲・見たことのないもの

駅のタイルで足が滑るような気がした。改札を抜けると今にも出そうなバスが見えた。考えずに走った。僕のどこかで何かがカチカチ鳴っていた。走りついた目の前で乗車口が閉まった。コンマ数秒の落胆。かわりに別の扉が開いた。 "前からどうぞー" 「…ありがと…

なんとも言えないわびしい気持ちになったことがあるかい?

仕事先の隣家の婆さんに、うちの庭のツタも取って!と言われた。たまにいるんだよな、こういう厚かましい人。それをやって手間賃をもらうのが俺たちの仕事なんだけど。とか思いながら、受注先と近隣の関係を考えて言う通りにした。時間はかけなかった。かけ…

まだ生きて、夢など見ている

職場の飲み会。大学の新入生向けレクリエーションみたいな余興。「お互いの下の名前をちゃんと言えるかな〜?」ほとんど誰の名前も言えない僕は「クソつまらん」と捨て台詞を吐いて席を立った…夢で良かった、とあとから思った。こういうことはよくある。心の…

クリスマス、知らないひとから白菜を貰う

スーパーでいつものように目に付いた白菜をカゴに放りこんだら、「ニイちゃん、待て!」とでかい声で呼ばれた。地産品コーナーに野菜を卸してる農家とおぼしい婆さんだった。たまに呼吸機を引きずってる爺さんと野菜を並べてるのを見かける。俺はそこの野菜…

当世風の

駅前の今ふうのカフェが潰れて、今ふうなカフェになっていた。露天にテーブルを出しただけの今ふうなテラス席では、デニムにギャルソンエプロンのお姉さんが、ダークスーツのおっさん1人につきコーヒー1杯の会計を、わざわざ跪いてやっていた。すべてがなん…

俺のディムけたガリバーが繁忙期に弱い

一日じゅう頭重く覇気なし。これを打ってるiPhoneが割れたのが今朝なのか昨日なのかも自分のツイートを見ないと分からなかった。それは昨日だ。バス停で靴紐を直そうとしたら胸ポケットから落ちた。たかが30センチの落下で見事に割れた。今日は良いこともあ…

常同的反復性志向者の自炊における献立の互換性について

⚫︎はじめに筆者(以下、俺)は日記を書いたり書かなかったりするが、たいした理由はない。継続は力なり、俺は非力なり。何事につけ三日坊主の俺も、毎日同じことを繰り返すのが好きというか落ち着く分野があって、とりあえず服と食事は迷わずそうと言える。例…

俺は外で飯食う前に写真を撮ってる奴が嫌いだ

なのにやってしまった。おととい夢見たとおりに王将に入り、注文した。ただし今度は迷うことなく。焼きそばとライスの組み合わせは終盤厳しいものがあった。頑張って食い切ったあと、せっかくの楽しみをすぐ実行することはなかった、と思った。

日付けのいらない日記

昨日は珍しく1日じゅう集中してたし、よくケアもした。いろいろも先回り気味で片付けた。そういう日の終わりはなぜかかえって安心から遠い。バーボンをがんがん飲んでわりと簡単に安心してから餌を用意し、平らげ、またバーボンを飲んで寝た。うちに酒に入れ…

臭いと分別

部屋のどこからか嫌な臭いがした気がして、あちこち嗅ぎ回る。臭うものはない。ものでないなら自分かと、自分の身体じゅうを確かめる。件の臭いはしない。気のせいかと思うとまた臭った気がする。あちこち探し回る。部屋に臭うようなものはない。ほんとうは…

予告された忘れ物の記録

野外環境整備の講習の帰り。俺は電車に乗る前に土のついたズボンを替えようと思って、トイレの個室に入った。向こうでさっさと着替えておくんだったと思いながらドアのフックに背負ってたザックを引っ掛けた。汚れたズボンのポケットにはタバコとケータイと…

30秒以内にボタンを押せ、と、それは言った。

今朝、身体がだるいので、ダイドーの喋る自販機で100円のアスパラドリンクを買ったら、"もう一本オマケ" が当たった。みんなは当たったことがあるものなのだろうか。僕は生まれてはじめてです。恐る恐る2本目のアスパラドリンクをもらいました。そのあと僕は…

祝福してやる

上半期の山を越えた、たぶん。だから機嫌が良い。たんに夏だからかもしれない。素晴らしい、それは素晴らしい日々がおれをまっている。お前を待っている。おれが請け合う。いいから信じろ。仕事すればやり手、描いた絵は売れて、バンド始めればモテモテ、背…

一人乗りの潜水艦

乗りこむのに特別な資格は必要なく、これといった訓練もない。ただし、航行中そこらじゅうに穴が開く。水が入ってくる。そらそこにも開いた、はやく塞ぐんだ、ひよっこめ。艦長が叫ぶ。乗組員は他にない。塞ぐ道具も材料もない。両手両足では追っつかず、肘…

ふええ。とか、うへえ。とか言ってんじゃねえよ

正直に言え。お祈りを信じている/信じない家の人たちをどう思っていた?そういう家の子である友達をどう思っていた?正直に言え。すべては因果律によるのでなく、気まぐれな神の意志によると信じている人たちがいると知ったとき、お前はどう思った?あるいは…

So to say walking ビジネス書

Type the password ⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎Ok, read it out…「おはようございます!」…So to say; 言うなれば歩くビジネス書が今日も吐いて捨てるお前だけに聴かせる、冴えたやりかたの flow ソースは無料、アルファかなんかのブログどこかの誰かが書いて捨てた憶測ジャ…

僕の知るなかで最も静かなひとり遊び

片目をつむり、頭を少し傾けたりして、見えているものの輪郭をくっつけたり揃えたり繋いだりする。僕が知るなかで最も静かなひとり遊びです。雑多な場所であれば、ほんのすこし視点をずらすだけで輪郭どうしがくっつくものが見つかります。輪郭線の重なりか…

風邪と嘘

また風邪をひいた。また週末に。そういう呪いでもかけられてるんだろう。業務対象にはいつでも風邪ひきが混じっているが、一冬に3度もひくことは今までなかった。少し驚いている。昨晩、きょう顔を出すことになっていた寄り合いの欠席連絡を入れた。いつも通…

黄色いボート

湯に浸かるのは頭や身体に良いと信じている。頭の血の巡りを良くする。強ばった身体を弛める。湯をメロンソーダやその他の色にする粉があるとなお良い。あれは変な色や匂いがなんとなく面白いので、しばらくのあいだいろいろのことに直面せずに済む。いっと…

記念☆撮影

…はーい、みなさん!もっと寄って寄って!こいつとはくっつきたくないとか仰らず!なにしろ我が国の断固たる決意と結束を示すんですからね!あー、うしろの先生がた、発表用は日章旗、やめときましょうか。帯刀の先生方もいったん下ろして頂けますかー?武士…

片付け頭

まず区画ごとに物品をカテゴリー分けする(仮の容れ物があったら便利じゃないかな)。全区画が済んだら、それぞれを収納先に運び戻す。(そこに入りきらないからこうなってるんじゃないの?)いいから。その間に洗濯機を回し、順次ベランダに干し、いやまず寝具…

ab coughsのご提案

また風邪をひく。なぜいつも休日になんだろう。気が抜けるとひくのだろうか。まる2日寝込んで、さすがに風呂入ったら、咳のしすぎで腹筋が割れてきとる。"たった2日で?信じられないわ!"通販メーカー各位は商品化を検討されたい。

草食系どころか草そのものの男

食うために働くことも、そもそも食うことも面倒な男に天啓が下った。「もう光合成でもするしかない」手加減のない荒行、人びとの好奇の視線、そして無視に耐え抜き、男はついにその能力を獲得した。見るがいい、彼の緑なす髪、青っぽい顔。彼の両足は大地に…

20歩の逸脱

いつもの出口から駅を出た。改札を出て真っ直ぐバスロータリーへ。これもいつも通り。雨は上がっていたが次のバスまで15分もあった。いつもならそのままぼんやり突っ立っているのだが、寒くて仕方ないので引き返し、駅の別の出入り口になっている本屋へ入っ…

what a small world (in my pan)

夕飯は慢性的に鍋を食っている。居候がいたとき、来る日も来る日も仕事から帰ると鍋でない食事が作られていることにキレて追い出した。悲しい思い出だ。「俺は毎日鍋ばっか食いたいんだよ!」近頃はたえて来る人もないので、安心して来る日も来る日も鍋を食…

良い天気だ、こんな日に

俺に宿題を出すなんて、冷蔵庫に洗濯物をしまって安心するような事態だという理解が足りない。或いは買ってきた野菜を洗濯機にしまう、或いは宿題を冷蔵庫にしまって安心するような事態だという理解が。安心するな!理解しろ!宿題を洗濯機で洗うな。俺に洗…

フランツ・カフカ・キャッスルランド

入場するなり捕まったり虫扱いされたりする。実質的軟禁型のテーマパーク。運良くゲートをくぐったそこが見世物小屋の檻の中であったりしなくても、なんとなくあるらしい中心部にはやはりなんとなく辿り着けない。来場者はみな"K"と呼ばれ、慇懃に扱われる。…

1118

もう写真が貼れなくて気落ちした。次からはすべて小さくする。風邪のまま日月と仕事、火曜早あがり。薬も効いてたので川へ。このところ風が強い。時間があるときは、場所が決まってもすぐ描かない。弁当でも食べながらぼーっとする。そのために昼に食わない…

1114

昨日の妙な寒さが伏線、きっちり回収して風邪。川べりは寒すぎると気づき公園へ逃げた。風の当たらないベンチとはまったく快適なものだ!

1113

とても寒かった。近所の川沿いにはセンダンが多い。枝ぶりは分かり良いが、葉のつき方は脳味噌が捻挫する。

視覚矯正/死角嬌声

何を描き何を省くかの判断。そこには描くことの何かがある、見ることの何かがある。ひょっとしたら暮らしもおんなじじゃないか?俺のはどっちもえらい省きようだ、よく見えてもいないのに。見えないから省く、というのは簡明だがそれで良いのか。よく分から…

1111

仕事とスケッチの帰り、バスから降りた暗い歩道。前のおっさん達がなんかつっかえてて死ねと思ったら、脱いだジャージを自転車前輪のブレーキに噛ませた子供が立ち往生していた。懐かしい問題。俺車輪回すからそっち引っ張れ、いやそっち違うやろ。小2くらい…

追悼番組

今日はひどく眠かった。仕事が終わるともう暗すぎて、川のスケッチは諦めた。帰るなり布団をかぶった。テレビでは紳助の追悼番組がやっていた。上岡龍太郎がしんみりと紳助に語りかけてるのを聞いてるうちに、臭い演出だと思いながらもつい涙が出た。気がつ…

眠前に

今日も途中から釣り人がやってきて目の前に陣取った。次はそいつも描き込むだろう。明日はまた宇治川に行くだろう。もうじき寒くて外で描けなくなる。もっと調子の幅を絞ること。

眠前に

降ることは分かっていたが、スケッチに出た。近所の禅寺の参道をふらふら抜けたら国道、それを少し北へ。目当ての川沿いにはギター少年。以前描いた田圃場の農道を鼻歌まじりに抜け、高速の高架をくぐったところはひなびた農地だった。まだ場所選びやフレー…

眠前に

今日はスケッチに行けなかった。気が塞ぐ雨模様の空よりも、強いて閉じる瞼のほうが眩しい。

間抜け、秋を行く。

起きてみれば良い天気だった。折角のロードバイクに長く乗ってなかったので、スケッチがてらサイクリングに行くことにした。目的地は生駒山の中のある集落?だった。誰もいない、ひなびた道路がストリートビューに映った瞬間そこに決めた。目的地を選び、家…

毎夜

細心の注意をはらってすべての灯を消してくらくなってから目覚まし時計をさがして手探りでさがしていや明日は早起きなんかすまいと思って放り投げてそれでも毛布はかぶってやっぱりもう一回探してそれは細心の注意であとは誰かに任せて明日の僕に任せて

不毛な無毛の話(俺は無一物と無一文の区別がつかない)

苛々するとバリカンを取り出して頭を丸める。何ミリとかそんなアタッチメントはつけない。本当は剃り上げたいくらいだが、面倒だし、痛いし、切り傷なしにはすまないのでバリカンで青くしている。坊主頭は19の頃に失恋して長髪をやめてからの習慣だ。生え際…

水溜まりを海と間違えて飛び込む奴は、頸をひどく捻ればいい。

くだらないことを言う。贅沢は言わない。ただ、だだっ広い時間が欲しい。それがほとんど唯一のぜいたくだからこそ、海でも眺めるようにしてぼんやり時間を眺めていることは、これほどかたく禁じられているのだろうか。それにしても、人にそれを禁ずる奴らは…

車中睡断靠

何度も眠りそうになりながら働いた。電車で珍しく座れた。ウトウトしたら両隣の男たちも眠りこんでいて、そのどちらもが、崩れるようにもたれかかってきた。なぜか同時に。突然、おっさんの肩肉に挟まるおっさん。おっさん→おっさん←おっさん。立ち上がる気…

二重の不幸、あるいは無能力

後悔は徳ではない。すなわち理性からは生じない。むしろある行為を後悔する者は二重に不幸あるいは無能力である。ースピノザ『エチカ』定理54失態というか、ついてないというか。何年かに一回、こういうのをやらかす。19の時のバイク事故、俺の過失、相手は…

俺の部屋は燃えないんだぜ

俺の部屋には白いゴムの防炎シートが敷いてある。絵の具や墨が畳に付かないようにだ。掃除機に吸いついて苛々するから鋲で端を止めてある。ブルーシートよりも随分高かったが、あの青いのを敷いて日常生活をおくるのは無理だと思ったんだ。そのうち青空や雨…

王子と乞食

小学校にあがった年の誕生日の夜、父が仕事帰りに買ってきたのは何冊かの本だった。誕生日こそは、ほかの子たちとおんなじにファミコンがもらえるのだと信じていたのに。彼は泣きたいくらいだったが、父の贈り物を喜ぶ振りをした。うわー、ありがとう!翌日…

こどものころと、こどものことと

当初、勉強はできた。計算の必要ないものに限って。算数は繰り上がりのある足し算で躓いた。10歳くらいのとき、家で毎日読まされるお経の漢字の羅列が、幼稚園のころに読まされた仏教えほんのストーリーの一つであることを突然理解した。得意になって、教理…

ウヰスキー幻想

甲「ねえきみ。世に言う"趣味の洗練"ってやつは、その趣味が分不相応の場合、不平の元でしかない。下手に良いものを知ると、安物のアラが目立って耐えられなくなるからね。そう考えると趣味の粗野さというのは、貧する者にとっては、生き抜く為の、ある種の…

師走らしい帰り道で

平日の仕事が年末の山を越えて、早く帰ったりできるようになった。帰り道、大きな国道の街路樹の剪定に出くわした。日はいくらか傾いてた。5〜6mほどの小さなイチョウに3人もの作業員がかじりついている。そんなのが何本も、尋常でないせわしなさで。彼らが…

眠前に

悲鳴への罵声。既成事実としての新しい秩序。明朗にして快活な脅迫。無数にある、たった一つの上手いやり方。無内容な号令。可塑性のある過去。にやけ顔の弁明。訳知り顔の沈黙。読経。痴れ者じみた説教。分別くさい嬌声。高らかな告白。止まらぬ咳、打ち鳴…

非自発的朝型生活

理由はよく分からないが、日に日に目覚めが早くなる。最近は遅くとも4時台には起きている。夜明けを毎日見ている。早期覚醒とかいうやつかもしれないが、寝つきは今までになく良い。不眠傾向がおさまったら、こう振れてくるとは。 困るのは、出勤を控えては…