参道で

10年くらい前に付けた些細な傷の痕がまだある。まったく大したことのない怪我だったのに不思議だ。

現場、というか山ん中でひとりだった。落ちてる枯れ枝を片付けといて、とだけ言われていた。やり始めてみると枝は無限にあった。だんだん横着になり、大きめのひとつを腹立ち紛れに林に向かってぶん投げた。それは僕の右腕の肉を少し裂いて飛んで行った。