片付け頭
まず区画ごとに物品をカテゴリー分けする(仮の容れ物があったら便利じゃないかな)。全区画が済んだら、それぞれを収納先に運び戻す。(そこに入りきらないからこうなってるんじゃないの?)いいから。その間に洗濯機を回し、順次ベランダに干し、いやまず寝具を干し、(こないだ買った来客用のはどうするの、どこにも入らないじゃないか!)…いやまず部屋干ししてるものをしまい(あ、あのDVD今日返却だ!ちゃんと気づいたよ!)うるさい!ゴミ袋はいったん台所に(さっきの仮の箱だけど、職場にたくさんあったバナナの段ボールがいいと思うな)うるさい!あ、この珈琲豆まだ味見してない。
という感じ、おれの掃除。
(もういいから始めよう)
始めよう。
(音楽スタート!)
ab coughsのご提案
草食系どころか草そのものの男
20歩の逸脱
what a small world (in my pan)
良い天気だ、こんな日に
俺に宿題を出すなんて、冷蔵庫に洗濯物をしまって安心するような事態だという理解が足りない。或いは買ってきた野菜を洗濯機にしまう、或いは宿題を冷蔵庫にしまって安心するような事態だという理解が。
安心するな!理解しろ!
宿題を洗濯機で洗うな。俺に洗濯物をしまうな野菜!野菜は俺にしまって安心。
安心が足りない。
事態に或いは。が足りない。
理解した。洗濯物に対して俺が足りない。これは正しい。常時n個数の洗濯物に対して常時単数であるところの私は…云々、QED。
或いは洗濯物には野菜が足りない。(いいぞもっと頑張れ。)
或いは宿題は俺に理解が足りない。(これじゃそのままだ。)
或いは、ええと、或いは。
フランツ・カフカ・キャッスルランド
入場するなり捕まったり虫扱いされたりする。実質的軟禁型のテーマパーク。
城壁で囲まれた園内は、よくわからないドアや袋小路だらけで、目玉になるはずの万里の長城はずっと建設中につき無料。
アトラクションの境界ははっきりせず、気がつくとクリア条件ばかりが増えていく。どうやらそれが退場手続きと連動しているらしい。
"Kさんですな?お待ちしてましたよ。ご心配には及びません。これはほんのロールプレイ型のアトラクションでして。それはもうエントリー前よりも安全なくらいで。こんな簡単なアトラクションをお選びになったK様は運が良い!いつもなら長蛇の列、抜かした抜かされたと大賑わいですからね……!"
"Kさんにはエントリーと同時に形式的な被告人となって頂くだけでして。ほんの形式、ロール・プレイ、ロールプレイですよ!…しかしこの訴状にはですね…"
スタッフには門番や伝令の他に火夫や家長、下級官僚や未亡人風のがいて、何かと仄めかしたり気まずかったり、うっかりすると言質取られたりする。
退場手続きは煩瑣を極めるが、スタッフ(なのかどうかもよくわからない奴ら)はどいつもこいつも自分はほんのバイトだからとか、本当の事を言うと、もともと自分もいちKだからここの出かたはよく分からないのだと申し訳なさそうに言う。
噂によれば鳴り物入りでオープンしたものの、そもそも入場が困難すぎて閉園。