追悼番組

今日はひどく眠かった。仕事が終わるともう暗すぎて、川のスケッチは諦めた。帰るなり布団をかぶった。テレビでは紳助の追悼番組がやっていた。上岡龍太郎がしんみりと紳助に語りかけてるのを聞いてるうちに、臭い演出だと思いながらもつい涙が出た。気がつ…

眠前に

今日も途中から釣り人がやってきて目の前に陣取った。次はそいつも描き込むだろう。明日はまた宇治川に行くだろう。もうじき寒くて外で描けなくなる。もっと調子の幅を絞ること。

眠前に

降ることは分かっていたが、スケッチに出た。近所の禅寺の参道をふらふら抜けたら国道、それを少し北へ。目当ての川沿いにはギター少年。以前描いた田圃場の農道を鼻歌まじりに抜け、高速の高架をくぐったところはひなびた農地だった。まだ場所選びやフレー…

眠前に

今日はスケッチに行けなかった。気が塞ぐ雨模様の空よりも、強いて閉じる瞼のほうが眩しい。

間抜け、秋を行く。

起きてみれば良い天気だった。折角のロードバイクに長く乗ってなかったので、スケッチがてらサイクリングに行くことにした。目的地は生駒山の中のある集落?だった。誰もいない、ひなびた道路がストリートビューに映った瞬間そこに決めた。目的地を選び、家…

毎夜

細心の注意をはらってすべての灯を消してくらくなってから目覚まし時計をさがして手探りでさがしていや明日は早起きなんかすまいと思って放り投げてそれでも毛布はかぶってやっぱりもう一回探してそれは細心の注意であとは誰かに任せて明日の僕に任せて

不毛な無毛の話(俺は無一物と無一文の区別がつかない)

苛々するとバリカンを取り出して頭を丸める。何ミリとかそんなアタッチメントはつけない。本当は剃り上げたいくらいだが、面倒だし、痛いし、切り傷なしにはすまないのでバリカンで青くしている。坊主頭は19の頃に失恋して長髪をやめてからの習慣だ。生え際…

水溜まりを海と間違えて飛び込む奴は、頸をひどく捻ればいい。

くだらないことを言う。贅沢は言わない。ただ、だだっ広い時間が欲しい。それがほとんど唯一のぜいたくだからこそ、海でも眺めるようにしてぼんやり時間を眺めていることは、これほどかたく禁じられているのだろうか。それにしても、人にそれを禁ずる奴らは…

車中睡断靠

何度も眠りそうになりながら働いた。電車で珍しく座れた。ウトウトしたら両隣の男たちも眠りこんでいて、そのどちらもが、崩れるようにもたれかかってきた。なぜか同時に。突然、おっさんの肩肉に挟まるおっさん。おっさん→おっさん←おっさん。立ち上がる気…

二重の不幸、あるいは無能力

後悔は徳ではない。すなわち理性からは生じない。むしろある行為を後悔する者は二重に不幸あるいは無能力である。ースピノザ『エチカ』定理54失態というか、ついてないというか。何年かに一回、こういうのをやらかす。19の時のバイク事故、俺の過失、相手は…

俺の部屋は燃えないんだぜ

俺の部屋には白いゴムの防炎シートが敷いてある。絵の具や墨が畳に付かないようにだ。掃除機に吸いついて苛々するから鋲で端を止めてある。ブルーシートよりも随分高かったが、あの青いのを敷いて日常生活をおくるのは無理だと思ったんだ。そのうち青空や雨…

王子と乞食

小学校にあがった年の誕生日の夜、父が仕事帰りに買ってきたのは何冊かの本だった。誕生日こそは、ほかの子たちとおんなじにファミコンがもらえるのだと信じていたのに。彼は泣きたいくらいだったが、父の贈り物を喜ぶ振りをした。うわー、ありがとう!翌日…

こどものころと、こどものことと

当初、勉強はできた。計算の必要ないものに限って。算数は繰り上がりのある足し算で躓いた。10歳くらいのとき、家で毎日読まされるお経の漢字の羅列が、幼稚園のころに読まされた仏教えほんのストーリーの一つであることを突然理解した。得意になって、教理…

ウヰスキー幻想

甲「ねえきみ。世に言う"趣味の洗練"ってやつは、その趣味が分不相応の場合、不平の元でしかない。下手に良いものを知ると、安物のアラが目立って耐えられなくなるからね。そう考えると趣味の粗野さというのは、貧する者にとっては、生き抜く為の、ある種の…

師走らしい帰り道で

平日の仕事が年末の山を越えて、早く帰ったりできるようになった。帰り道、大きな国道の街路樹の剪定に出くわした。日はいくらか傾いてた。5〜6mほどの小さなイチョウに3人もの作業員がかじりついている。そんなのが何本も、尋常でないせわしなさで。彼らが…

眠前に

悲鳴への罵声。既成事実としての新しい秩序。明朗にして快活な脅迫。無数にある、たった一つの上手いやり方。無内容な号令。可塑性のある過去。にやけ顔の弁明。訳知り顔の沈黙。読経。痴れ者じみた説教。分別くさい嬌声。高らかな告白。止まらぬ咳、打ち鳴…

非自発的朝型生活

理由はよく分からないが、日に日に目覚めが早くなる。最近は遅くとも4時台には起きている。夜明けを毎日見ている。早期覚醒とかいうやつかもしれないが、寝つきは今までになく良い。不眠傾向がおさまったら、こう振れてくるとは。 困るのは、出勤を控えては…

鮫が怖い

今年はどこにも泳ぎにいかなかった。正直にいうと俺は水が怖い。溺れない程度には泳げるが、大きな水たまりが怖い。もっとはっきり言えば、大きな水たまりにいるであろう大きな水棲生物が怖い。鮫が怖い。 昨夜、久しぶりに鮫の動画をいろいろ見た。やはり…

僕らはバスに乗った

後ろの座席から眠ってる顔を見てた。また一緒に観光バスに乗るとは思わなんだ。別れた日も、僕らはバスに乗った。隣に座りたいなと思ったら、目を開けた。ほんの少しだけ笑って、窓側の席に移った。間にさりげなく肘掛けを下ろすことを忘れなかったけれども…

キンモクセイと平穏

気候がよいからだろうか、頭の中が比較的静かだ。あまり怒ったりせずへこへこしている。努めてではなく、ごく自然に。その代わりというか、仕事以外では返事もしない。店の人には以前よりも礼を言う。夜風がまったくいい感じだ。キンモクセイの匂い。できれ…

宇治川らへんで

忙しくなり、暑さが去ってもスケッチが再開できなかった。きのう、仕事のあと宇治川に寄った。気候は素晴らしかった。いつもスケッチしている場所は、台風の泥と、シーズンなのかやたらに多い釣り人たちとで諦めざるを得なかった。そろそろ別の場所も探さな…

雨の宇治川

雨続きで、洗濯ものが溜まって困る。今日は仕事を早く終えた。その時点では晴れ間が見えた。耐え難い眠気に打ち勝って、いつもの宇治川へ足を運んだ。おれは夜は寝られないくせに、日のあるうちはずっと眠い。平常業務は立ち仕事だが肉体労働ではない。しか…

オーギュスト・ブランキ『天体による永遠』随想

このようにして我々の一人一人は何十億という分身の形をとって無限に生きてきたし、生きているし、生き続けるであろう。19世紀フランスの革命家、オーギュスト・ブランキの『天体による永遠』を読んだ。生涯の大半を獄中で生きた革命家の最後の著書なのに、…

Insomnia, nightmare, and meaning

さて、夜である。出て行こうか、行くまいか。いずれにせよ、今夜は眠られぬものと覚悟せよ。埴谷雄高Twitter / haniya_yutaka: さて、夜である。出て行こうか、行くまいか。いずれにせよ、今夜 ...夏の現場シーズンが終わり、今日から平日の仕事が始まった。…

suitor to a season (summer)

ずっと付けっぱなしのクーラーを、ふと我慢してみた。俺の部屋は五階だから、風はよく通る。外はそこそこ涼しいようなのだが、室温計が32℃から1ミリも動かない。 俺はいま、エレベーターもない五階に住んでる。一日熱せられた屋根が冷めないのだろう。屋上に…

俺はソイ派

身体の疲れが抜けない。171cm54kgの俺の身体には重作業はいつもぎりぎりだ。激しいのが3日続くと、半日以上寝込む。うちの親方のやり方が、3日働いて1日休むという昔の職人のスタイルだったからかもしれないが。このところ、食事は、いっしょに仕事をしてた…

ただの一日、34回目の

たまたま、行けばやることが方々にあった。汗と泥まみれの日々。ここしばらく、労働しながらあちこち泊まり歩いている。剪定、工作、解体、搬入、掘削、設置…どれも別に上手くはない。俺はひょろひょろで腕力もない。そういうのにほんの少し慣れてるだけだ…

土間、切腹、はたらくくるま

また俺は批難されているらしい。こうなったのはぜんぶ俺のせいであるらしい。なんのことだか俺にはちっともわからないが、強い不満と敵意を、誰もが俺に抱いているのは確かだ。はいはい、そうっすよ。悪いのは全部俺っすよ。俺は破れかぶれになる。ざけんな…

Pass to the usual nightmare

俺は追われる。命を狙われている。俺を追う奴は、ダースベイダーに似た黒い甲冑の奴、ヘルレイザーのピンヘッドの釘の代わりに、千切った和紙をびっしり顔面に貼ったような奴など。細部は一定しないが、大抵わかりやすい人型をしている。以下、魔王と書く。…

俺の小屋と柵と猛獣

その場で、なぜうまく言い返せないのだろう。そのせいで、そのあと何日も俺は苦しむ。怒り悲しみは身体に悪いし、仕事の邪魔をする。本すら落ち着いて読めやしない。問題 感情は、理性のちっぽけな柵を乗り越えて、俺の小屋を無茶苦茶にする。困る。困るの…