今日もいろんなものを見た

比喩でなく死のうとした子らを見た。そうでない子らも見た。好きに描いてみなと言ったら、悲嘆や牢獄や損壊した人体を描く子たちを見た。団欒を描く子もいる、勿論いる。

大人たちの仕事を見た。仕事する大人たちを見た。見てくださいこの子の絵。この子も、この子のも、そう言う僕もそのひとりだった。

 

満員電車でうずくまる幼い姉妹を見た。その上でスマホをまさぐる親を見た。隣の有料車両で悠々としてる奴らを見た。それよりも背後の酔っ払いの息が僕の髪を揺らすのが許せなかった。

まだ学校にも上がらないであろう年端の、僕の足元にいた女の子が、茶髪の母親が邪魔そうに持たせた量販店の紙袋を、僕たちの足から妹を守るように置き直しているのを見た。