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なんとも言えないわびしい気持ちになったことがあるかい?

仕事先の隣家の婆さんに、うちの庭のツタも取って!と言われた。
たまにいるんだよな、こういう厚かましい人。
それをやって手間賃をもらうのが俺たちの仕事なんだけど。とか思いながら、受注先と近隣の関係を考えて言う通りにした。時間はかけなかった。かけられないし。やり終えて、これでよろしいか?と聞くと、婆さんは真剣な面持ちで俺に向かって手を合わせた。

当初から、正直なに言ってんのか半分くらいわかんなかったけど、たぶん曰く、毎年自分がやってきたけど今年は身体が利かなくて、家族は誰もやってくれない…云々。 

少し経って、婆さんは歩行器兼買い物バッグの上に発泡スチロールの箱を乗せて出て来た。
ジュース置いとくから、あとで皆で飲め、暑いから、冷たいから、と。
箱のなかのペットボトルは、温くならないようにタオルで巻いて、リボンで丁寧に止めてあった。

仕事のあと、そういやそんなで飲み物もらってたんだけど飲む?と仲間に見せた。
タオルを剥いで見ると、それは婆さん家の飲みかけのジュースと、よくわからない茶葉のいっぱい浮いたお茶だった。
俺たちは笑いながら、それらの液体をどばどばと草むらに撒いた。

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