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一人乗りの潜水艦

乗りこむのに特別な資格は必要なく、これといった訓練もない。ただし、航行中そこらじゅうに穴が開く。水が入ってくる。そらそこにも開いた、はやく塞ぐんだ、ひよっこめ。艦長が叫ぶ。乗組員は他にない。塞ぐ道具も材料もない。両手両足では追っつかず、肘や膝、果ては尻や頭を壁に押し付けて凌いでいる。背後からちょろちょろと音がする。背中を後ろに押しつけると、左の膝が穴から離れてしまう。真下からも水が湧き出した。まるで澄んだ泉のようだ。艦長は叫ぶ、本艦は…!乗組員が続ける、…限界であります!

浜辺。悪童たちがよく揃ったハードル走のフォームで波の頭を跨いで駆けてくる。遠浅で揺れる奇妙な張りぼてを蹴りまわす。小便をかける。銛で滅多刺しにする。

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