まだ生きて、夢など見ている

職場の飲み会。大学の新入生向けレクリエーションみたいな余興。「お互いの下の名前をちゃんと言えるかな〜?」ほとんど誰の名前も言えない僕は「クソつまらん」と捨て台詞を吐いて席を立った…夢で良かった、とあとから思った。こういうことはよくある。心の…

追悼番組

今日はひどく眠かった。仕事が終わるともう暗すぎて、川のスケッチは諦めた。帰るなり布団をかぶった。テレビでは紳助の追悼番組がやっていた。上岡龍太郎がしんみりと紳助に語りかけてるのを聞いてるうちに、臭い演出だと思いながらもつい涙が出た。気がつ…

王子と乞食

小学校にあがった年の誕生日の夜、父が仕事帰りに買ってきたのは何冊かの本だった。誕生日こそは、ほかの子たちとおんなじにファミコンがもらえるのだと信じていたのに。彼は泣きたいくらいだったが、父の贈り物を喜ぶ振りをした。うわー、ありがとう!翌日…

僕らはバスに乗った

後ろの座席から眠ってる顔を見てた。また一緒に観光バスに乗るとは思わなんだ。別れた日も、僕らはバスに乗った。隣に座りたいなと思ったら、目を開けた。ほんの少しだけ笑って、窓側の席に移った。間にさりげなく肘掛けを下ろすことを忘れなかったけれども…

Insomnia, nightmare, and meaning

さて、夜である。出て行こうか、行くまいか。いずれにせよ、今夜は眠られぬものと覚悟せよ。埴谷雄高Twitter / haniya_yutaka: さて、夜である。出て行こうか、行くまいか。いずれにせよ、今夜 ...夏の現場シーズンが終わり、今日から平日の仕事が始まった。…

土間、切腹、はたらくくるま

また俺は批難されているらしい。こうなったのはぜんぶ俺のせいであるらしい。なんのことだか俺にはちっともわからないが、強い不満と敵意を、誰もが俺に抱いているのは確かだ。はいはい、そうっすよ。悪いのは全部俺っすよ。俺は破れかぶれになる。ざけんな…

Pass to the usual nightmare

俺は追われる。命を狙われている。俺を追う奴は、ダースベイダーに似た黒い甲冑の奴、ヘルレイザーのピンヘッドの釘の代わりに、千切った和紙をびっしり顔面に貼ったような奴など。細部は一定しないが、大抵わかりやすい人型をしている。以下、魔王と書く。…

徴はいたるところに

俺は呪われている。呪いによって俺は死ぬだろう。呪いから逃れる術はない。呪いの届かない場所はない。その証拠には、呪いの徴(しるし)がいたるところにある。灰皿のなかに転がる吸殻。コップにささる歯ブラシ。昨日脱いだままのズボン…かつてあったものが、…